作曲家すぎやまこういち先生が亡くなってから、早一年。
ドラゴンクエストの作曲をしている方と言えば、誰でも「あ〜、あのお方ね!」と想像つくだろうか。
もっと分かりやすく言うと、東京オリンピックの入場曲1曲目と言えば分かるはず。

あの時、ドラクエファン皆が「先生おめでとうございます!!」と言ったでしょうね。

少なからず、いや僕の人生に大きな影響を与えてくれた一人でした。

今日はそんなオーケストラ音楽とドラクエ、少年時代の僕についてお話しをしていきます。

前々からこのことについて書こうかなと思っていたのだけれど、ドラクエ愛が溢れるばかりに、もの凄い量の論文になりそうなので控えていました。
シリーズが11作もあったら、たった一回で簡単に書ききれないわけです。

この記事の内容は自由と言っても、ゲームだけを書いていたら「ここはゲームチャンネルなのか」と思われてしまうわけであって、写真や僕自身にどの様な影響を与えたのかも書かなければ本末転倒なわけです。

写真好きな方、ドラクエ好きな方、読んでくれる方を置いていかない様に綴っていきます。

 

 

僕が初めて生のオーケストラを鑑賞したのがドラクエ6シリーズ。
その頃ドラクエはシリーズ6作までしかなかったんですよ。

確か9歳ぐらいだったかな?
母親が夏休みの思い出にとチケットを取ってくれて、「コンサート?ふーん、行ってみる」ぐらいの感覚で、渋谷公会堂へ足を運んだ僕。

家から渋谷までの道のり自体が長く、服装もいつもより小綺麗にし、片田舎の僕にとってはひと夏の冒険でした。

音源はスーパーファミコンで良く聴いていたから、開演前は「あの感じが流れるのかな」ぐらいしか想像ができませんでした。
でも今聴いても、スーパーファミコンから流れるドラクエ6の音は素晴らしく綺麗だと思います。

 

そして、コンサートの幕開け。

ダンディーなおじいさん(当時60代のすぎやま先生、ドラクエ風に言うとレベル66)が登場して、腕を高く上げた瞬間、そこから会場全体に一気に魔法がかかりました。

生のオーケストラから奏でられる音は、今までに体感したことがない振動が体全体に伝わり、9歳だった頃の僕は「す、す、凄すぎる!!!」と感動したのを今でも鮮明に覚えています。

すぎやま先生の合図でシンバルがバーン!と鳴ったり、綺麗なバイオリンやフルートが奏でられたり、あのダンスをしているかの様な先生の後ろ姿はまるで「魔法使い」そのものでした。

演奏が終わると会場全体の鳴り止まない拍手だったり、当時の僕は生演奏の凄さや会場全体の雰囲気にキラキラと目を輝かせていたと思います。

帰りにはオーケストラの音源CDを買ってもらったり
(今でも僕のiPhoneにはこの名曲たちが入っています)、あのコンサートは僕に大きな影響を与え、ここからオーケストラの生演奏の素晴らしさを知るわけです。

「これがオーケストラのコンサートなんだ!!」と。

 

行きたいと駄々をこねたわけでもなく、何も知らない僕に新しい世界を体験させてくれ、あの場所まで連れて行ってくれた母親には感謝です。

大人になって触れるのと子どもの時に触れておくのとでは、色々な経験が少ない分、子どもの頃の方が影響が大きいでしょうね。

僕には、あの日の影響が大きすぎたと思います。

翌年もまた母親がチケットを取ってくれて、また違った楽曲の数々を楽しみました。

 

ところでドラクエの『序曲』ってどれくらいで完成したか知っていますか?

あれだけの名曲だから、

1週間?

1ヶ月?

半年?

1年?

 

実はたった5分でパッとインスピレーションが降りてきてできたそうです。

ただ、「5分プラス僕の55年分が詰まっている」とまで仰っていましたね。
それを聞くと、納得してしまいます。
でもそれでも5分とは凄すぎて頭が上がりません。

当時のファミコンはたった3音しか出すことができなく、それでも多くの人を感動させてしまうこの曲は本当に深いなぁって思います。

何度聴いても不思議と飽きないんですよ。
何回も聴くので、それがゲーム音楽に大事なことらしいけど、クラシック音楽にはこういう力まであるとは凄いですよね。

僕もこの曲で何度泣かされたことか。

あの場面、あの時、あのシリーズで…

 

そして、このコンサートを最後にここからサッカーが忙しくなり、ドラクエ断ちをした10代。

でも曲はMDで聴いたり、なんだかんだ学生時代も側にいてくれたドラクエの音楽たち。

ドラクエをまたやり始めようと思ったのが20代に入って時間が多少できてからですかね。

当時できなかった分、ネタバレ情報などは一切遮断してきたので、思う存分楽しみました。
やはり、冒険する日々は楽しいわけですよ!

 

写真の仕事もやり始め、リアルドラクエの世界観もたくさん味わいました。
※『』は全て曲名なので、まだ聴いたことがない方は是非一度聴いてみてください。

 

「この街は『街の人々』『にぎわいの街並』の音楽が流れてきそうだな」

 

 

 

 

「まるでここはダンジョンみたい。『冒険の旅』が流れてきそう」

 

 

 

 

「マリアテレジアのシェーンブルン宮殿とかは『王宮のロンド』が合う」

 

「日本のあしかがフラワーパークはドラクエ11の命の大樹っぽくて『愛のこもれび』が合う」

 

「鳳凰の彩雲として世には出しているけど、ラーミアやレティスにも見えなくはないので『おおぞらをとぶ』が合う」

とか、ドラクエの影響があったから旅が好きで、旅が好きだからドラクエが好きだったりもします。

もちろん旅の締めは『この道わが旅』や『フィナーレ』を機内で聴いて振り返ったりして楽しんでいます。

あの頃の何も知らない9歳の少年は、一人でふら〜と海外へ飛び出してしまう人間になってしまうのでした(笑)

たまに、ドラクエ好きな方からは「ドラクエの音楽が流れてきそうな写真だね」と言ってもらえたりしますが、それは撮影中の僕の中で奏でられているドラクエの音楽とリンクしたから、そう言われるのかもしれませんね。

小さい頃受けた影響とか色々な経験が写真にも表れ、それが僕の写真となっているわけです。

個性的な写真が撮れないと悩む必要はなく、ここが綺麗だと思ったから撮った、自身のあの経験とリンクしたから撮ったとか、そういうシンプルに自分の中の想いを込められたら、それがその人の写真になるのかなと思います。

全員ではないけど、伝わる人にはきっと伝わりますので。

僕自身、「個性的でしょ!」とかは思っていなく、僕もまだまだ色々と勉強中であり、ただこのスタイルでやっているだけです。

本当は春先に撮影した「宇宙に咲く桜」の様に、もっともっと見たこともない素敵なシーンに出会って、ただ綺麗なだけではなく、その一歩、二歩、奥深くにあるものを写真におさめていきたいです。

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でもただひたすらやるのではなく、色々な経験をすることって大事だと思うのです。

サッカーでいうと懐が深い選手は上手い(特にジダン選手)と言うけれど、取られたり、失敗した経験がたくさんあるから、ボールを取られない様にたくさんの選択肢を持っていたりするわけです。

色々な失敗をしたり悩んだり、そういう人は深みがあって男性女性問わず、そういう人から学ばせてもらいたいと思います。

この前相談受けたことがあったので、偉そうにこんな風に書いてみましたが、僕もレベル34の中途半端な人間であるので、いつかすぎやま先生の様にレベルが上がったら、もっと良い答えがあるのかもしれませんね。

 

 

さて先日、25年振りにドラクエのコンサートを聴きに行ってきました。
9/30にすぎやま先生がお亡くなりになり、ほぼ一周忌です。
もうあの姿は見えないのかぁと寂しくもありますが、魔法使いの様な後ろ姿はしっかり瞼の裏に焼きついているので、当時に想いを馳せながら楽しんできました。

ドラクエと言えば、音楽は東京都交響楽団のオーケストラ。
今回はバイオリン等の弦楽器が無い、吹奏楽。

曲のプログラムはドラクエ7、8、9であり、8は3本の指に入るぐらい面白く、壮大で好きなシリーズです。

特に今回の曲の中で『おおぞらに戦う』と『天の祈り』『決戦の時』が楽しみであり、初めての吹奏楽はどういう風に奏でられるのだろうと楽しみにして向かいました。

気持ちはあの頃、9歳の頃に戻ってましたね。
うん、25年という歳月は本当に色々あったなと…

演奏が始まってみると、バイオリンが無いという違和感がなく、「これはこれですごく楽しい!」と、最後まで音楽を堪能している自分がいました。

「バイオリン必要あった?」というくらい自然であり、驚きでした。

すぎやま先生の考えでもある、プロのオーケストラならどこでも演奏できる楽器編成は本当にすごいなと改めて感じましたし、オーケストラの音楽を楽しんでほしいという願いも25年振りに伝わった2時間でした。

アンコールは『そして伝説へ』と『序曲IX』という素晴らしい内容で、拍手が鳴り止まない感動的なプログラムでした。

最後に『序曲IX』とは、会場を出る時は皆が勇者になっていたはずです(笑)

まだ生の音楽を聴いてみたことがない方は、会場に足を運んで聴いてほしいなと思いますし、この記事をきっかけにドラクエの世界に興味を持ってくれたら嬉しいと思います。

「たかがゲームでしょ」と思う方もいるかと思いますが、ゲーム以外であれ、自身が経験し、それを噛み砕いて今後の人生に活かすことができれば、どんなことも無意味なことにはならないはずです。

 

お会いした時は、是非ドラクエのお話しをできたら嬉しいです。

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写真家 石井 和宏 LINE@

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