こんにちは。写真家の石井和宏です。
春なのに冬に戻ったかの様な気候になり、肌を刺す北風がとにかく冷たく「この気候は何なんだ」と思う日。
それでも満開になった桜は、この強い風でも吹き飛ばされることはなく元気に咲いていました。
今回の記事ではやっと「例の桜」が登場します。
前回の記事で書いた通り、シベの色が黄色は花が開いたばかりです。
そして、この花の落とし方をするのはスズメの仕業。
一番綺麗な時に贅沢な吸い方しています。
吸った残骸見ると、こんな感じです。
メジロなどは花粉の受粉を媒介できるけど、スズメの根本から吸う、この吸い方はスズメの腹を満たしているだけとか。
一つの木に何万羽という数でこの吸い方をされたら困りますが、数羽なので問題なさそうですね。
桜を咥えたスズメの姿って本当かわいいので、どこか憎めないです。
スズメの後を追っていると、花見中のカラスも発見!
満開ということもあって、こんな桜の絨毯になっていました。
人がいない写真ももちろん撮りましたが、のどかな雰囲気がプラスされるのでこちらをセレクト。
別の木だけど、ここも満開です。
お花だけの写真も良いですが、画面上に幹の動きを入れてあげると、力強い写真になります。
こういうしっかりとした写真は大きくプリントして飾りたいですね。
風が強くてこんな寒い日にわざわざ川付近まで行って、こんな絵も撮ってみました。
風の通り道が僕の立っている所にピンポイントだったので、体感温度は雪山ぐらいあったかも。
本当に寒かった。
そして、例の桜とはこちら。
木漏れ日のタイミング、その差し込む光にうまく配置されている桜の花びら、きっと強風で折れてしまったんだろうと思う桜の枝。
一切手をつけていない状態でこれですからね!
こんなタイミングあるんだと感動でした。
この日、このタイミングでなければ見れない光景です。
あと数時間早かったら、あと数分遅かったらと考えると絶対見れないのでゾッとします。
そして、ほとんどの方はこの景色を見過ごす一見地味な景色だけど、観察しているとどんどんこの闇の世界、星の様に輝く世界に導かれていきます。
僕の中から出てきた言葉は
宇宙
そのものでした。
誰もが見て分かる絶景よりも、僕にとってはもの凄い絶景であり、こんな桜のシーンがあるんだと身震いしましたね。
大体、「満開の桜」「夕陽と桜」「電車や飛行機と桜」「桜とポートレート」とか、
そういう既存のカテゴリーに分けられる写真ができると思います。
そのカテゴリー外から来たものと突如出会ってしまったので、感動もありながら「こういう表現に今まで出会えなかった、気づけなかったことを反省している自分」もいました。
頭ではこういうファンタジー系な作品を思い描いていたけど、まさか自然界で出くわすとは…
スタジオや合成写真ならこれを作るのは簡単ですが、自然風景でこんなシーンと出会うのは中々ないことなのです。
写真を撮っていることに没入すると、
「ただ目の前のある景色にどう反応するか、どう感情が動くのか」
という状態になっていきます。
そういう雑念のないニュートラルの感情になった時、僕の好きな写真が生まれます。
また、この写真の面白い所は、天地左右がない角度で撮っているので、どの角度で飾っても絵になります。
光沢のある紙で大きくプリントすると、本当に宇宙にいるかの状態になるんですよ。
販売もしていますので、展示ご希望の方はShopページよりお願いします。
どの角度が今の気分に合いますか?
さて、このままこの日は夕方まで粘ってみることにします。
春の風はいたずらなもので、止んでほしい時に止まず、吹いてほしい時に吹かないことが多いです。
でもその風を味方につけると、こういうふわっと舞う桜が撮れます。
ここのお花は大きくてパステル調になるので、撮っていて楽しいです。
撮っていると、
「兄ちゃん、うまく撮れたか?」
と話しかけてくる犬の散歩中のおじいさん。
「俺も昔は仕事であちこち撮りに行ったんだよなー」
と色々語りかけてくるので聞いていると、
なんと
その方は僕の七五三を撮った方でした。
当時もこんな感じで人と人の壁なんか無いフレンドリーな話し方だったなと、小さい頃の記憶が蘇ってきました。
桜の下で再会もあるんですね!
おじさんとなのでドラマにはなりませんが(笑)
雪柳も綺麗に咲いていたので、雪の様に白く儚く撮ってみることに。
桜と同じで花びらは5枚構成です。
そろそろ陽も傾いてきたので、終盤戦です。
陽が傾いてくると、光が当たる場所、当たらない場所が分けられてきます。
満開の桜もこの日で終わりかな。
1日でガラッと姿を変えてしまう桜。
天気も雨予報があったり、この日が一番綺麗な状態だろうな。
空も良い感じに焼けてきて、こんなシーンに出会いました。
沈む時間はあっという間だから、ここから忙しくなります。
神々しい!!
陽が落ちると夕焼けが更に爆発しました。
締めには最高の一枚ですね。
何年に一回または何十年に一回、例の桜と出会えたことにより、僕の中には新しい領域ができました。
でも、あの桜以上の桜を探すという気持ちでいたら、おそらく今後出会えないときっと思うのです。
常にニュートラルな状態で、その時その時の桜を楽しもうと、気軽な気持ちでいたいなと思いました。
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