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こんにちは。写真家の石井和宏です。
時は遡り、ソメイヨシノが咲くちょっと前の季節。
まだまだ肌寒い季節だけど、一足先にピンク色の桜とご対面です。
撮っていると、自分の中である感情が出てきました。
「この世界観のもっと奥には何があるのか」
「自分はこの桜とどう向き合う」
そうすると、こんな景色が自分の前に広がってきて、イメージがどんどんここから生まれてきました。
上の写真は桜の世界と言わなければ、ほとんどの人が伝わらないと思います。
「なにこれ?」「ボケているだけじゃん」「キラキラした世界だ」「このピンクは何だろう?」
色々な感情が出ていると思いますが、全部正解だと思います。
どう見るかは、見ている人の視点で良いと思います。
だからここから下に続く写真たちは、想像して見ていってください。
今回の記事で僕が表現して伝えたいことは、
“想像と創造”
上の写真からヒントを得て、「木の存在感はどこか」を描きたくなりました。
存在感を示すと、写真に一気に力が加わります。
そして、脳内で描き出した世界と目の前の桜の世界がリンクして、こんな景色が出てきました。
桜って奥が深いなと常々思います。
そして、この日は結構な風がビュービューと吹いていて、これも如何に味方につけるかも考えます。
撮る日に限って風が強いとは良くあること。
「桜の力強さや神秘的な世界をもっと表現するにはどうやるべきか…」
「この風をどう味方につけるか…」
ひたすら自分の中と目の前の桜と対話します。
「あれ…? …まさか!!」
と自分の中にイメージが浮かんできます。
撮って見ると、出てきた絵は「そうそう!こんな感じ」という理想の絵が出てきました。
取り敢えず全部で4枚撮ってみましたが、何だかんだ言って一番最初が一番感動しましたし、他はちょっと力強さが足らないかなといった感じです。
一度エンジンが掛かると、もうこっちのものです。
雨が降ろうが、風が吹こうが、お構いなしになります。
この日は風だけだったんですけどね。
桜とリンクした状態で撮っていると不思議な世界がたくさん出てきました。
撮っていて本当楽しかった。
天から降り注ぐオーロラの様なイメージが出てきましたが、これはちょっとやりすぎです。
「桜の芯、桜の核」が消えています。
これが好きという方もいますが、それはそれで大変ありがたいことです。
だけどここで終わったらもったいないので、更に一段、二段と追い込みます。
「これならどうだろう?いや、まだまだ」
「核が大きいし、下側が好みではない」
「これだ!」
桜の花の存在もあり、中心の桜に視点を送ると引き込まれる世界観が表現できました。
また、周りに視点を送ると、降り注ぐイメージも表現できるという、二面性がある世界です。
一番最初に見せたオーロラの様な写真は、降り注ぐイメージだけの様な感じがしたので、僕が描きたかったのはこの二面性がある世界観です。
調子に乗って、もう一枚。
風が強くて、大分ひねりも加えられてしまい失敗です。
そして、ラスト。
綺麗に描くことができ、この日は大分ベストを尽くしました。
大きくプリントした写真、すごいことになっているので是非体感してほしいです。
陽も西陽になり、ピンク色も更に濃くなってきます。
ここからはいつも通りの安定の僕です。
夕陽と一番混じり合った瞬間。
正直、咲いている木と咲いていない木の差が激しい環境でしたけど、どんな環境であれ、自分がそれに対してどう向き合ったのかをいつも以上に体感できた日でした。
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